上総掘りとは

上総掘り

江戸時代に水井戸を掘るために、上総地方(現在の千葉県君津市)で使用されていた方法で、 明治26年(1893)に新潟県の新津油田で初めて油井の掘さくに使われました。 その後改良を加えながら 多くの水井戸、温泉井や油井、ガス井の掘さくに使われてきましたが、人力で掘るために時間がかかり、徐々に機械掘りが 採用されるようになり、昭和の時代になって姿を消していきました。
上総掘りは、岩石を掘り砕く「ビット」に孟宋竹を裂いた「へね竹」をつなげ、これを人力によって上下させて岩石に衝撃を与えて掘進する方法です。井戸が深くなると「へね竹」は長く、重量も 大きくなるので、地上にそれを巻き取る「へね車」と称する大車輪や「はね木」と呼ばれる竹の弾力を利用した重量を和らげる装置もついていました。
当社(昭和6年に大多喜天然瓦斯株式会社として設立)が昭和30年までに掘さくしたガス井は、上総掘りが主体となっています。現在、国内には上総掘りの技術者を育成・指導しているボランティア団体があり、東南アジアやアフリカなど発展途上国で動力の未整備な地域において井戸を掘るための技術の普及に努めています。